「うちの子がもっと意欲的に勉強に取り組めるようにするにはどうすればいいですか」と
聞かれることがあります。
その際、私はいつも次のようなお話をします。

勉強には内側からメラメラと出てくるやる気(内発的動機付け)と
他者から刺激を受けて動くやる気(外発的動機づけ)があり、
自分が将来こうなりたい、から、
こういう大学に行きたい、
そのためにはこういう高校に行って、
そのためにいま勉強をこういう風に頑張る、
という“道”ができれば、
大人が何も言わなくても勝手に勉強するようになります。
そして、それがどういう形で役に立つのかわからなくても、
将来の自分のために頑張る人たちは
質の高い勉強をします。
ただし、これを養成するには親子でじっくり話し合う必要があるため、時間がかかります。

それに対して、アメとムチ・損得勘定などの刺激で動く人たちは
勉強が表面的で、あまり質が高くありません。
即効性があり、一度うまくいくとつい頼ってしまう気持ちも分かりますが、
だんだん同じようにうまくいかなくなっていきますし、
報酬の多寡によって行動するようになってしまいます。
成績を何かの取引の材料にするのも、外発的動機づけの強化につながることもあります。

本来、勉強とは損得で測られるものではなく、
それとは別の次元・別のベクトルに存在するものであると考えています。

また、自分で自ら考えて選択し、行動に移す人格を育てるのが、
相手を尊重した本来の教育だと考えています。
あらゆる企業が欲しているのはこのような人材です。
ボタンを押されてから動くのは人間的ではなくロボットに近いと感じます。

受験生としての意識を高めるためには、
外発的動機付けより、内発的動機付けが有効です。

自分はやればできるんだという感覚(有能感)と
テストでの結果以上に、それを出すに至るプロセス・努力を誉めることは
内発的動機付けを強化しますので、
ご家庭ではこのような声掛けを意識的にお願いしたいと思います。

以上のようなお話を、前回の保護者面談でさせたいただいたある方が、
「うちの子が最近、機械系・工学系に興味を持つようになって、
勉強に対する姿勢が少し変わってきた」とお話しされていました。
それを聞いて私はとてもうれしく思いました。

先日、いつも録画しているゴールデンタイムのテレビ番組で、
ある大学の工学部の大学生の何人かにインタビューするコーナーがありました。
彼らは自分の研究内容や将来性について、
きらきらとした表情で生き生きと話をしていました。
彼らは勉強に、夢や希望やロマンを感じていると思います。
勉強がとても楽しいと思います。

また、ある新中3生のお母さんから
「中1のときは仕方がなくやっつけ仕事で勉強していたけれど、
最近はそれが変わってきた」とか、
ある高校生のお母さんから
「中1のときは“宿題やったの”と確認しなくちゃいけなかったけれど、
中3になって志望校がしっかりできてからは、
親がびっくりするほど、自分から机に向かうようになった」というお話を聞きました。

意識が変わると、行動が変わります。
行動が変わると、成績が上がります。

受験生としての意識ができてくると、
いろいろ変わってきます。